ヒダ耳鼻咽喉科・心療内科トップページへ

〜医者はどこまで患者と向き合っているか?〜主治医はあなた【随時更新】

現代の医療のあり方に一石を投じ、これからの医療の可能性を模索する。
心身統合医療に力を注ぐ、医師・樋田和彦のメッセージ。

主治医はあなた

目次へ戻る

西洋医学とキネシオロジー、
ヨーロッパで期待される
新たな統合医療のかたち。

■キネシオロジーと統合医療

精密機器などを使わず、患者さんの筋力の反応を見ることで診察をするキネシオロジー(筋反射テスト)は、西洋医学とは対極にあるように感じる方もいることでしょう。しかし、キネシオロジーは欧米の統合医療において、積極的に取り入れられようとしています。

そのシンボリックな出来事として、2013年12月18日、パレスホテル東京で、「第7回欧州統合医療会議とバイ・デジタル・O-リングテスト国際シンポジウム共同開催調印式の集い」が開催されました。さらに2014年10月、セルビアの首都ベオグラードで開催された「第7回 欧州統合医療会議(European Congress Integrative Medicine)」(EU25加盟国が加入)では、バイ・デジタル・O-リングテストのセッションなどが設けられました。

バイ・デジタル・O-リングテストはキネシオロジーの流れを組むもので、これらの世界的な学会は、統合医療のなかでキネシオロジーが重要な役目を示すことを明確にしました。じつはセルビアの欧州統合医療会議には、私も講演者として出席し、その空気を肌で感じることができました。学会では、O-リングテストの創始者である大村恵昭氏(日本バイ・デジタル・O-リングテスト医学会会長)による講演が行われ、異常部検出テストで異常部を発見し、その原因を共鳴テストで解析するO-リングテストの理論と実践についての概論が述べられました。

その後、Alojz Peterle氏(EU対ガン議員連盟代表)による、統合医療についての講演が行われました。ご自身も11年前にがんを患ったというPeterle氏は、ヨーロッパで3人に1人ががんにかかると言われており、いまだにその数字は伸びている現状を挙げながらこう述べました。    「ヨーロッパ全体で医療費は大きな問題となっており、患者が健康のためにもっとお金を出さなければならない状況となっている。最も費用が大きいのは薬であり、コストを下げるには、従来とは違う角度で考えなければならない。その答えの一つが代替医療ではないか。25カ国が加盟しているEUには25種類の異なったヘルスシステムがあり、代替医療へのスタンスもそれぞれだが、代替医療の必要性を認める声は多い」。

ガンという重篤な病気と向き合っている大きな組織が、自ら代替医療への期待を語ったことは非常に意義のあることだと思います。この学会の目的は、従来の医学と、バイ・デジタル・O-リングテストなどの補完医学をどのように統合していくか。つまり、統合医療の未来への発展を目指すものです。

第7回欧州統合医療会議
(European Congress Integrative Medicine)

※第12回隔年度バイ・デジタル・O-リングテスト国際シンポジウム、第30回電気鍼療法兼統合医療における最新の進歩の国際シンポジュウム、第1回セルビア統合医療会議 共同開催


左からAlojz Peterle氏、大村恵昭氏、下津浦康裕氏

・開催地:セルビアの首都ベオグラード
・参加国:31か国
・テーマ:201題
補完医学、統合医療、伝統医学、量子医学、統合歯科、BDORT(Bi-Digital O-Ring Test)、鍼治療、アユルベーダ、ホメオパシー、ヨガ、太極拳、ハンドテラピー、催眠、瞑想、カイロプラクティック、オステオパシー、サプリメント、レーザー治療、色彩療法、マヤ医学、腫瘍学、耳鍼、マイクロウエーブ、マクロビオティック、温熱療法

医療費増大などを背景として、統合医療へのムーブメントはヨーロッパで盛んなのは事実ですが、じつは日本でも2010年、国家的に統合医療を支援しようという流れがありました。当時の鳩山内閣総理大臣が、健康寿命を延ばすために「統合医療」の積極的な推進について検討を進めることを揚げ、厚生労働省ではプロジェクトチームを発足させていたのです。

「統合医療」の特長として

  • 患者中心の医療
  • 身体、精神、社会(家族、環境など)、スピリチュアルな面を含めた全人的医療
  • 個人の自然治癒力の促進により、治療のみならず、むしろ増進を目標とする

が挙げられます。

もともと日本は、東洋医学と慣れ親しんできた国です。上記のような内容は、もともと医療において実践されてきたともいえるのではないでしょうか。西洋医学の台頭によって、ほとんどの医師が身体を部位に分けて診断する西洋医学に傾倒し、その技術や知識を高めてきましたが、それだけでは不十分であることをだれもが気づき始めています。「統合医療」は、医療の本質へと近づく、重要な役割を担っていると考えます。

■まず害をなすなかれ(ヒポクラテス)

ヒポクラテスによるこの有名な言葉は、医療の原点というべきものです。しかし実際は患者さんに対して、病院や治療が「怖い」「痛い」「苦しい」というイメージを与えてはいないでしょうか。医者の立場から言うべきことは憚られますが、「医療が病気をつくる」という極端な表現の記事すら、全てを否定することはできません。

キネシオロジーは、注射針も使わなければ、放射線を発することもありません。身体にいっさいダメージを与えることなく、患者さんの身体や心の状態を調べることができるのです。一方、西洋医学では、注射針を使った採血、放射線を利用した検査など、患者さんに負荷を与える検査が多くあります。薬剤についても、患者さん一人ひとりの副作用について調べることなく、症状別・病名別に、薬品会社の勧めるままに使用しているケースがほとんどだと思います。

キネシオロジーと出会い、患者さんに何の負荷を与えることもなく、さまざまな診療ができるようになったことで、私はヒポクラテスの言葉の重みを改めて感じています。

次回は、共同学会で私が発表した講演会の内容をお伝えします。

「WebBook 主治医はあなた」についてご意見・ご感想をお聞かせください。 メール送信