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〜医者はどこまで患者と向き合っているか?〜主治医はあなた【随時更新】

現代の医療のあり方に一石を投じ、これからの医療の可能性を模索する。
心身統合医療に力を注ぐ、医師・樋田和彦のメッセージ。

主治医はあなた

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手は全身の縮図である。
その手のひらを治療の場とする
高麗手指鍼こうらいしゅししん

■「高麗手指鍼療法」の創始者、柳泰佑先生との出会い

「高麗手指鍼療法」の創始者である韓国ソウル在住の柳泰佑先生は、私の長い人生の中で、とても深い信頼関係をもってお付き合いさせて頂いている数少ない方のおひとりです。
これから紹介する「高麗手指鍼療法」は、私の理想的な健康法治療法としてお勧めできる条件が揃っています。

〈高麗手指鍼療法の特長〉

  1. 手は日常生活でもっとも有用性が高く便利である
  2. 「手は全身の縮図」であるから、手を使うことは全身を使うことである
  3. 危険がなく安全で副作用がない
  4. 今すぐこの場で活用できる
  5. 自然治癒を促す
  6. 治療と予防と健康増進に役立つ
  7. 手は第二の脳とも言われ、心身の安定に役立つ
  8. 安価である

その他にも、手指鍼療法は自分が主治医になって自分を治療できる。他人にもしてあげることができる、人と人のコミュニケションに役立てることができるといった利便性があります。
ここで、リンカーンの有名な言葉が思い出されます。
高麗手指鍼は「人民の、人民による、人民のための医療・医術」というものです。

日本に高麗手指鍼療法が初めて紹介されたのは1977年、韓国の宋台錫博士による「医道の日本」誌への連載です。その記事をじっくりと読んでいた私は興味を抱き、柳泰佑先生が来日されることを知り聴講することにしました。

1978年5月、柳先生は京都のタワーホテルで催されたトポロジー学武会(学長・間中喜雄博士)に招かれ高麗手指鍼を初めて日本で披露しました。当時、先生は32歳で既に高麗手指鍼療法を体系立てており、まさに神童の印象を強く受けたのです。トポロジー学武会の学長である間中先生を患者のモデルとした的確な診断と治療のデモンストレーションに、私は少なからぬ感動を覚えました。

懇親会の席上、柳先生と親しく会話を交わし、それを縁に度々先生から著書を送っていただきました。 

当時、私はヨガと耳鍼法(耳を全身とみて治療する方法)や操体法を診療に取り入れていました。本格的に手指鍼療法を始めたのは1984年3月、東京での2日間の柳先生の集中講義に参加し、基礎から習得したことがきっかけです。

■手を全身として捉える「高麗手指鍼療法」

「高麗手指鍼療法」について紹介する前に、「耳」を全身とみて治療する「耳鍼法」について述べます。この治療法は中国とヨーロッパの民間療法として知られ痩せるツボとして一時有名になりました。

「耳」をよく見てみましょう。胎児がお母さんのお腹にいるときの姿、つまり頭が下、足が上、胸や腹を抱えこんでいる体位に似ていませんか? 

耳たぶが頭に当たり、耳穴を取り囲むように内臓、フレーム状の耳介の軟骨が背骨に当たります。体の痛みなどは不思議に、耳を全身とした場合、耳の相応する部分にも痛みが現れることを発見しました。また、耳鳴り、難聴、めまいなど、不調のある耳は触ると硬いことが多く、ほぐすことで滞りが改善し症状が楽になることもありました。

手のひらを全身とする「高麗手指鍼療法」、耳を全身とする「耳鍼法」、いずれもゾーンセラピーといって、身体の一部(ゾーン)を治療の場とする点では同じです。私は耳鼻科医ということもあり、「耳」を全身とみて治療する「耳鍼法」を診療に積極的に取り入れていた時期がありました。しかし、「手」はより利便性が高いと判断し「高麗手指鍼療法」を活用することにしました。

「手」は「耳」より分かりやすく簡単です。まず、自分の手の甲を見て下さい。それは「あなたの後ろ姿」です。そういきなり言われたら驚かれるかもしれません。

左手で説明しましょう。
中指先は頭に相当します。手の中指先端から手首の中央に向けて引いた直線を想像してください。その線に沿っていくと手首上の窪んだところに当たります。そこが、仙骨とお尻に相当します。そして、中指の第一関節部が後頭部のボンの窪と言われるところ、第二関節までが頸椎で関節は環椎と言って胸椎の一番、第三関節が胸椎の九番に当たります。そして、薬指が左上腕、小指が左下肢です。人差指が右上腕、親指が右下肢です。

手をひっくり返してみましょう。手のひらは「あなたの前姿」です。
中指の一つひとつの関節を区切りに説明しましょう。中指の先が頭ですから、第一関節までが顔、第二関節までが首、第三関節までが胸に相当し、手のひらが腹に当たります。一方、薬指と人差し指は腕に、小指と親指は下肢に当たることは手の甲側の時に説明しました。
一つひとつの関節は薬指と人差し指の場合、第一関節が手首関節、第二関節が肘関節、第三関節が肩関節になります。また、小指と親指は下肢に当たり、第一関節が足首関節、第二関節が膝関節、第三関節が股関節に相当します。

右手についても同様です。左手との違いは薬指と小指は右上腕と右下肢、人差し指と親指は左上腕と左下肢に相当することです。

■「手」に独立して存在する気脈

柳先生の発見の第一は「手は全身の縮図」であるということ。そして体のある部分に病変が生じると体表面上に生ずる圧痛点などが手のひらにも現れるということです。(体表面に臓器器官の異常が表れることを内臓体壁反射と言います。この現象が「手」にも表れることが発見されています)

例えば、お腹が痛いとき同時に手のひらの相当する部分にも圧痛が現れ、その痛い部分に鍼や灸などの適切な刺激を与えると腹痛が改善します。(痛い部分を探索するには先の尖ったもの、爪楊枝やボールペンなどを使うこともできます)
これを相応療法と言います。

第二の発見は手のひらだけに独立して存在する気脈(エネルギーの流れで、中国医学では経絡と呼ばれています)とツボを発見したことです。このことは、驚天動地の偉大な発見です。この気脈を使って治療家はとても便利な治療ができるようになりました。
これを気脈療法と言っています。

最も簡単な健康術としては「手指を揉む」「手指を引っ張る」「手を合わせる」「手を振る」などができます。また、器具を使う治療術としては爪楊枝やボールペンの先などで刺激する方法や、専門的には「鍼」「灸」「磁石」などを使う治療術があります。

私のクリニックでも、診察の後は、患者さんの手のひらに「灸」を施します。それだけでなく、患者さん自身にも自宅で「灸」をしてもらっています。背中などの「灸」は本人にはできませんが、手のひらであれば気軽に自分で行うことができます。このように、高麗手指鍼療法を毎日の習慣として取り入れれば、健康維持と予防と治療効果を上げることができます。

その他、中焦基本法、陰陽脈診法、五治処方、八性穴療法、運気体質などがあります。

現在、日本での普及は主として名古屋市周辺と東京と大阪その他で医師・鍼灸師の治療家によって活用されていますが、潜在的なファンはかなり存在し広がりつつあります。

もっと詳しく知りたい方は、専門書であれば「高麗手指鍼講座」日本語版・たにぐち書店・陰陽脈診出版社刊、柳泰佑原著2001年1月発行、一般書であれば「てのひらツボ療法」地湧社1986年10月発行(現在絶版になっています)を参照してください。
「高麗手指鍼療法」を学びたい方は次にお問い合わせください。
名古屋市中区錦「ガイアそうこ」(TEL: 052-961-1090)

次回は、私が考案し実践している、「高麗手指鍼療法」とバイ・デジタルOリングテストの融合についてお話しします。

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